チェーンのかしめが決まらなかった話(Z250FT)
工具はプロ用、腕も足りていないわけではない。それでもかしめが決まらなかった。原因はチェーンとジョイントのメーカー違いだった。
Z250FT の足まわりを組み直していて、チェーンのかしめでまる一日詰まった。 工具は DRC のプロチェーンツール。安物ではない。それでもフレアが決まらない。
結論から書くと、原因はチェーンとジョイントのメーカーが違っていたことだった。 同じことをやりかけている人がいるかもしれないので、順番に残しておく。
使っていたもの
そして、これが問題だった。
⚠ これは使えない
EK 530SRX2用 カシメジョイント(MLJ)── EKのチェーン用のジョイント。
何が起きたか
かしめようとしても、ピンにフレアがきれいに広がらない。 工具が滑る。力を掛けると今度はピンが変形しはじめる。
最初は自分の手順を疑った。工具の使い方を調べ直し、プレート圧入からやり直した。 それでも決まらない。
原因
チェーンとジョイントは、同一メーカー・同一銘柄でなければならない。
サイズが同じ「530」でも、銘柄が違えば
- プレートの厚さが違う
- ジョイントピンの全長が違う
- 中空ピンの肉厚(=フレアの広がり方)が違う
つまり、工具が正しくても物理的に決まらない。
そして怖いのはここからで、仮に決まったように見えても強度が出ない。 ドライブチェーンは重要保安部品で、走行中に破断すればほぼ確実に事故になる。 「なんとなく付いた」で走らせていい部品ではない。
正しいジョイント
RK SV530UW-R を使うなら、ジョイントもRKの同銘柄用を買う。
600円しない部品なので、2個買っておくのを勧める。 1個失敗しただけで作業がまるごと止まるほうが痛い。
かしめ工具の使い方(3工程を必ず分ける)
ここも整理しておく。プロ用の工具は、1つの本体でこの3つを切り替えて使う。
- カット ── 余長を落とす
- プレート圧入 ← アタッチメントを交換
- かしめ(フレア) ← かしめピンに交換
②を完了させないまま③に進むと、物理的にフレアは決まらない。 ピンの頭が規定量まで出ていないので、広げようがないからだ。 「固すぎて回らない」と感じるときの多くは、力の問題ではなくこれが原因になっている。
もうひとつ、かしめピンはメーカーごとに先端形状が違う。 DID用の先端でRKのチェーンを叩けば、滑るか欠ける。付属ピンの中から合うものを選ぶ。
合否の見かた
感覚で判断しない。測る。
- プレート外幅が、他のリンクと同じか(ノギス)
- フレア後のピン外径が、メーカー指定値に届いているか
- 締結した部分だけ動きが渋くないか(圧入しすぎるとシールが潰れる)
RKは銘柄ごとのフレアカシメ径を公式の諸元表で公開している。手元に置いておくといい。
もうひとつの反省 ── チェーンの選定
使っていた SV530UW-R は UWリング(4点接触シール)の強化グレードで、 250ccのZ250FTに対しては余裕がありすぎる。
シールの接触点が多いぶんプレートの圧入が固く、かしめの難易度がそのまま上がる。 性能が要らないところで作業を難しくしていた、というだけの話だった。
「良いものを買えば間違いない」は、こういうところで裏目に出る。
次にやる人へ
- チェーンとジョイントは同一メーカー・同一銘柄。 サイズが合っていても銘柄が違えば使えない
- プレート圧入を完了させてから、かしめに進む。 順番を飛ばすと決まらない
- 切った余りコマで2〜3回練習してから本番。 捨てるコマなら何回失敗してもタダで、手応えは本番一発では掴めない
一度かしめ始めたジョイントは再利用しない。これも守ること。
チェーンサイズそのものの選び方は、別ページにまとめた。