旧車ノート カワサキ旧車の整備記録と部品資料
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No.003 作業記録 / Z250FT

チェーンのかしめが決まらなかった話(Z250FT)

工具はプロ用、腕も足りていないわけではない。それでもかしめが決まらなかった。原因はチェーンとジョイントのメーカー違いだった。

2026-09-07

Z250FT の足まわりを組み直していて、チェーンのかしめでまる一日詰まった。 工具は DRC のプロチェーンツール。安物ではない。それでもフレアが決まらない。

結論から書くと、原因はチェーンとジョイントのメーカーが違っていたことだった。 同じことをやりかけている人がいるかもしれないので、順番に残しておく。

使っていたもの

RK JAPAN
RK SV530UW-R シルバーシリーズチェーン 530-100L
品番 SV530UW-R-100
UWリング/カシメジョイント付属
ウェビックで見る

DRC(ダートフリーク)
DRC プロチェーンツール
品番 D59-16-112 ¥11,550
420〜530対応/カット・プレート圧入・かしめ
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そして、これが問題だった。

⚠ これは使えない
EK 530SRX2用 カシメジョイント(MLJ)── EKのチェーン用のジョイント。

何が起きたか

かしめようとしても、ピンにフレアがきれいに広がらない。 工具が滑る。力を掛けると今度はピンが変形しはじめる。

最初は自分の手順を疑った。工具の使い方を調べ直し、プレート圧入からやり直した。 それでも決まらない。

原因

チェーンとジョイントは、同一メーカー・同一銘柄でなければならない。

サイズが同じ「530」でも、銘柄が違えば

つまり、工具が正しくても物理的に決まらない。

そして怖いのはここからで、仮に決まったように見えても強度が出ない。 ドライブチェーンは重要保安部品で、走行中に破断すればほぼ確実に事故になる。 「なんとなく付いた」で走らせていい部品ではない。

正しいジョイント

RK SV530UW-R を使うなら、ジョイントもRKの同銘柄用を買う。

RK JAPAN
RK SVシルバーシリーズジョイント SV530UW-R
品番 SV530UW-R-CF ¥573
カシメジョイント/適合チェーン SV530UW-R
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600円しない部品なので、2個買っておくのを勧める。 1個失敗しただけで作業がまるごと止まるほうが痛い。

かしめ工具の使い方(3工程を必ず分ける)

ここも整理しておく。プロ用の工具は、1つの本体でこの3つを切り替えて使う。

  1. カット ── 余長を落とす
  2. プレート圧入 ← アタッチメントを交換
  3. かしめ(フレア) ← かしめピンに交換

②を完了させないまま③に進むと、物理的にフレアは決まらない。 ピンの頭が規定量まで出ていないので、広げようがないからだ。 「固すぎて回らない」と感じるときの多くは、力の問題ではなくこれが原因になっている。

もうひとつ、かしめピンはメーカーごとに先端形状が違う。 DID用の先端でRKのチェーンを叩けば、滑るか欠ける。付属ピンの中から合うものを選ぶ。

合否の見かた

感覚で判断しない。測る。

RKは銘柄ごとのフレアカシメ径を公式の諸元表で公開している。手元に置いておくといい。

もうひとつの反省 ── チェーンの選定

使っていた SV530UW-R は UWリング(4点接触シール)の強化グレードで、 250ccのZ250FTに対しては余裕がありすぎる

シールの接触点が多いぶんプレートの圧入が固く、かしめの難易度がそのまま上がる。 性能が要らないところで作業を難しくしていた、というだけの話だった。

「良いものを買えば間違いない」は、こういうところで裏目に出る。

次にやる人へ

  1. チェーンとジョイントは同一メーカー・同一銘柄。 サイズが合っていても銘柄が違えば使えない
  2. プレート圧入を完了させてから、かしめに進む。 順番を飛ばすと決まらない
  3. 切った余りコマで2〜3回練習してから本番。 捨てるコマなら何回失敗してもタダで、手応えは本番一発では掴めない

一度かしめ始めたジョイントは再利用しない。これも守ること。


チェーンサイズそのものの選び方は、別ページにまとめた。